一般社団法人新潟青年会議所 2018年度スローガン

一般社団法人 新潟青年会議所 第64代理事長 大杉 一宏

VISIONARY -描くニイガタをカタチに- 大杉 一宏

一般社団法人新潟青年会議所 2018年度 理事長所信

アイシテル、ニイガタ!

皆さまにも馴染みのあるフレーズではないでしょうか。

愛する新潟を、よりすばらしいまちへと発展させるべく、私たち新潟青年会議所は創立以来60余年に亘り、様々な活動を続けてきました。その間、先輩方の幾多の努力により、このまちは、明るい豊かな社会の実現に向かって、今も着実に歩みを進めています。

一人ひとりが地域を良くしたいと思っていることは理解しています。しかし、夢や理想・精神論ばかりで妄想の世界に浸っていては何も変えることは出来ません。夢は叶え、理想は現実を帯びなければなりません。地域の将来像を明確に描く私たちだからこそ、より具体的な方法を考え、実行に移すことが大事なのです。

皆、限られた時間だからこそ、己以外に対してどこまでも情熱を燃やして、英知を纏うJAYCEEであり、地元「ニイガタ」を愛する地域人でありたいと願います。

はじめに

-成功の鍵は、的を見失わないことだ。自分が最も力を発揮できる範囲を見極め、
そこに時間とエネルギーを集中することである。-

ビル・ゲイツ

近年、情報収集や論理構築といった客観的な能力と並んで重要なのが、自分の主観に基づく構想力ではないでしょうか。まちをどのように変えていくのか、そこに正解はないように感じます。収集した情報を論理的な道筋に照らし合わせ、判断し選択することが求められています。ここ十数年ほど、地域での取り組みは、老若男女問わず多くの人たちの意見を集約して結論を出していくという市民参加型のモデルが多く採択されてきました。
都市開発が行政によって推進される際に、周辺住民の意見を聞き取り、できる限り不利益を小さくすることは大切です。しかしながら、衰退している都市の問題は、社会全体の課題であり、単に周辺住民の不利益を解消するだけでは解決は望めません。事実、市民参加だけでは、地域の課題を解決するには至っていない現状があります。

つまり、皆の意見を集めただけでは、次なる打ち手につながる強烈なビジョンを作ることはできず、結局は折衷案や妥協案に落ち着いてしまいがちであり、地域で何かを始めるには、構想力が試されるのです。皆がどうなのか、ではなく、自分はどうしたいのか。どのように地域が変わり、活性化につながると考えているのかというビジョンを明確に掲げなくてはなりません。しかも、それらは他地域の真似事ではなく、必ずしも人に褒められなくとも、自分の中から発せられるものでなくてはなりません。地域の課題解決に取り組む前に、我々がどのようなビジョンを掲げ、どのように実現するのかが問われているように感じます。まさに私たちが直面する深刻な課題の下での近未来は、イノベーションがもたらす様々な変化を、自律的な個人として一人ひとりが「より良い社会をつくるため」にしっかり取捨選択していく必要があり、そして組織や制度もそのために変えていかなくてはならないのです。

地域を牽引するリーダーの育成

 青年会議所の魅力とは何だろうか。私は青年会議所の最大の魅力は、「機会の提供」だと考えています。それは個人、組織、地域がもつ可能性を引き出す機会を常に与え続けてくれるからです。日々の活動、運動を通じて提供される機会、出向先での様々な機会。私たちは青年会議所に所属していることで常に多種多様な機会を与えてもらっているのです。私たちの身の回りに起こるすべての事象が機会であり、その機会を通じてより良き変化を能動的に創出していく運動体が我々であることを理解した上で、この組織がもつ機会を十分に活かし、魅力と可能性を周囲に明確に伝えることがより強く大きな運動を推進するために必要であります。
 青年会議所はよく「学び舎」として例えられ、「様々な機会を通じ自らの学びとするところである」と、青年会議所について人に説明をする際の表現としても多く使われています。それだけ学べることは多種多様にあり、この組織がもつ機会を40歳までという限られた時間で最大限に活用し、一生を変える一瞬の原体験を通じ、自らを地域や国をより良く導く人財へと高めていただきたいです。そして、自らの可能性を信じて果敢に挑戦し続けることで、自らを輝かせるだけでなく周囲の人たちをも、その光をもって輝かせるJAYCEEとなっていただきたいものです。
 毎年、多くの新入会員に入会していただいており、様々な事情や環境をもつメンバーが何らかのきっかけで、この組織の門を叩いてきます。新しく入会されるメンバーは何を思いこの組織に入ることを決めたのか。どのような期待と不安をもって一歩を踏み出したのか。自らが入会するときはどのような気持ちであったのか。新しく同志となるメンバーにしっかりと心を寄せて迎え入れ、正しく導くことは、僅かばかりでも先に入会している者としての務めであります。

地域再興へのイノベーション

 人口減少がとどまることをしらず、国や自治体による規制が障壁となり、地域経済の停滞から自立を遂げられない地域が数多くある中、地域の特色を発揮させる規制緩和を活用した地域経営の手法を確立できれば、持続可能な自立した地域の実現に近づきます。地域活性化の機運が高まる今、産官学民言一体による地域活性化策をもって経済効果を高める市民とともに、個性が共感を広げる魅力ある地域へと再興する必要があります。
 昨年より新潟市では、都心軸(新潟駅~古町)と自然軸(信濃川)が交差する萬代橋を中心とした区域において、信濃川の水辺空間を活かした賑わいの創出に取り組んでいます。
2011年3月に「河川敷地占用許可準則」改正に伴い、利用区域において、飲食店や売店、オープンカフェなどの営業活動やイベント開催などを行うことで、市民の日常的な信濃川やすらぎ堤の利用を促進し、まちなかを訪れる来街者の誘致の拠点と回遊性の向上と地域の活性化を創出しています。しかし、地域での取り組みを推進する上で、いきなり成功を収めるようなマネジメント能力を身につけようとするのは、ほぼ不可能です。また、様々な地域の成功事例を見よう見まねで単に模倣することも、リスクが高いと感じます。つまり、私たちも地域での成果を生み出すためには、事業を仕掛ける私たち自身の力量を上げなくてはなりません。小さな運動からスタートし、様々なことに挑戦し、数々の失敗と一部の成功を積み重ねながら、自分なりの方法論を徐々に身につけることが肝要です。
 そして、現代は「ヒト・モノ・カネ」から「ヒト・ヒト・ヒト」の時代とも言われております。「働き方のあり方」が変化し、企業・個人それぞれにとっての「理想の働き方」の実現は、企業にとっての最も大きな課題の1つです。時代の変化は、私たちの生活を根底から変え、時代は新たなパラダイムシフトを迎えようとしています。政府や企業が様々な取り組みを実施して、「新しい働き方」を実現している会社も増えてきています。しかしながら、まだまだ多くの企業の現場では、なかなか「理想の働き方」実現に向けて課題も多く見られます。多くの企業での働き方事例を共有し、またそれらのノウハウを研究、体系化していくことは、これから多くの企業・個人にとって最適な働き方(ワークスタイル)の実現に貢献できることでしょう。様々な情報を発信していくことで、企業・個人の「働き方の選択」にも大きく貢献できるはずです。

変革期のリーダーシップの本質

 時代の変化に対応し、新たな価値観を生み続けなければならない今、地域社会の中で求められるリーダーとしての資質も変化しています。より力強く青年会議所運動を展開し、地域が抱える課題を解決へと導くためには、指示や命令で人を動かすだけではなく、地域や仲間と誠実に向き合い信頼を得るための資質を高めなければなりません。
 そして、多くの人を巻き込み大きな力に変えるには、考えや想いを円滑に伝え合い正確に理解し合い、相手の気持ちに寄り添う共感力、相手の変化に気づく観察力を育てる必要があります。また、様々な場面において自分の意見をどのように伝えるかを工夫する表現力、さらには、あらゆる場面で何が問題なのか原因を模索し、想い描く未来に向かって新たな道を切り開く構想力も育てる必要があります。メンバーに貴重な成長の機会を提供し、プログラムを通じてJAYCEEとしての資質向上を図ることができる、セミナーの情報提供を行います。共感力、観察力、表現力、構想力を育み、誠実かつ真剣に熱い想いをもって率先して行動することで、信頼から共感を生む人の心を動かす人材育成へとつなげます。

ビジョンにグローバルな視点は不可欠

 今日では、インターネットで一人ひとりが一瞬にしてグローバルにつながれるわけであり、自分の身がどこにあろうと関係ない時代です。逆に言えば、日本人だから、日本に居住しているからといって、「グローバル」から逃げることはできないのです。
 2016年の訪日外客数は2,400万人、2017年は4月までに既に900万人を突破し、単月で過去最高を記録しました。国も2020年には4,000万人を目標と掲げ、その背景には航空路線の拡大や寄港クルーズ船の増加などが挙げられます。2020年には東京五輪・パラリンピックを控え、訪日外国人旅行者の増加はまだまだ続きそうです。外国人観光客の訪日目的としては、これまでの中国人の「爆買い」などによる「モノ消費」が落ち着き、日本での体験を楽しむ「コト消費」が増えてきています。
 ヒト、モノ、カネ、情報が国境を超え、つながるグローバル社会において、国籍、言語、文化が多様化し、異なる文化をもつ人々が互いの文化の違いや価値観を受け入れ尊重し、新たな関係性を創造することが重要視されています。そしてまた、新潟青年会議所も、JCIという世界規模の組織の一員であり、世界とつながっています。これら国際の機会は、私たちを、そしてまちを相対的に考える場を提供し、世界とつながることも、日常生活の中ではなかなか得られない成長のチャンスです。
 近年、新潟青年会議所では国際という舞台を身近に感じられる活動や、姉妹JCとの交流、JCIの諸会議への参画をしています。これはいわゆる民間外交であり、このような草の根の活動は恒久的世界平和を目指す青年会議所にとって欠かすことのできない重要な使命です。先輩方が創り上げた世界とのつながりを、継続させ、より深くさせていくことが、国際都市への確かな道の一つであります。改めて国際の機会にスポットを当て、日本という国の素晴らしさをさらに深く知ってもらうことで、世界を知り、新潟を知る機会を創出します。
 さらに、私たちは国連が取り組む国際問題解決のために継続的に取り組んでいるUNSDGs推進事業において、国際社会の一員として当事者意識をもち、国際問題の現状を把握し、関係諸団体との連携を図り国際社会の発展に向け問題解決に取り組んで参ります。

共感を生む継続的な発信

 価値観が多様化している今日、常に自分自身を見つめ直し、若者らしくより前向きに行動し続け人間の根源的要素である心や感性を鍛えることにより、本気で生き、本気で立ち向かう、本気で地域から必要とされる組織になる、そんな姿勢と志を貫き通す組織になるべく、私たちの取り組みは、最初の一歩を踏み出すことで活動として動き出します。そして、多くの市民の参画により、その効果を生みだし、地域を巻き込み社会を変革するムーブメント、すなわち運動へと高まっていきます。これこそが、運動の原点なのです。
 そして、真に拡がりのある運動を展開するためには、組織が市民に必要とされる団体となり、魅力溢れる運動をつくることはもちろん、それらを効果的に発信する手法を確立し、情報発信力を高めていく必要があります。同時に、継続的な運動を可能にする強固な組織基盤も整えなければなりません。
 近年、世界的な規模で展開されるSNSの登場により、情報の伝達手段がますます多様 化しており、IT技術の格段の進歩が気軽さや便利さを生み、広範囲な情報発信を可能にしています。他方で、情報量の増大によって、発信した情報が情報氾濫の渦の中に埋もれてしまう危険性も高まっています。そこで、本年は活動の発信にあたり、伝えたい相手に確実に伝わる発信手法を模索するとともに、画一的な情報伝達に終始することなく、情報の即時性や正確性を基軸とし、受け手側に立った特色ある斬新な手法を確立します。さらに、我々の組織の価値を一段高め、市民からニーズが集まってくる組織へと昇華していかなければなりません。我々の活動は一方的な押しつけではなく、市民のニーズを踏まえたものでなければならないのであります。そのためには、ブランディングという観点から組織のあり方を確立しなければなりません。また、組織が拡大する中、組織としての一体感を醸成するためには、昨年同様に内部広報にも力点を置かなければならないのです。それらを踏まえ、情報発信のあり方を改めて考察していきます。

個人の成長からなる強い組織

 今や、全国各地に「青年会議所がある時代」となり、国内には実に695もの青年会議所が存在します。また、世界を見ても130もの国と地域で国際青年会議所の活動がなされています。青年会議所がもつ幅広いネットワークから知識・経験のみならず、人と人とが関わりあうことで感じる新たな視点を学び得る必要があります。出向や渉外によって得られるものは個人の成長はもちろん、組織の成長の一助となり、私たちの運動の幅を広げていきます。出向や渉外によって広がる可能性を追求し、そこで学び得たことや、想いをより認知していくことが不可欠です。
 日本青年会議所とJCIが主催する各種大会に積極的に参加を呼びかけ、同じ志をもつメンバーと相互理解を育む機会をサポートします。特に本年は、JCI ASPAC鹿児島大会が開催されます。国際会議の意義・目的を理解してもらうために、魅力ある情報発信により参加意欲の向上を図ります。
 また、出向先で新たに出会った仲間とのつながりや、LOMを超えたことで得られる経験や知識を他のメンバーが魅力的に感じられる場をつくり、出向者へ敬意を表してまいります。さらに、LOMの結束力や青年経済人らしい立ち居振る舞いによって新潟青年会議所の存在感を示し、新潟らしい自然資源の豊かさや人の温かさが感じられるおもてなしをすることでこのまちの価値を高めてまいります。
 様々な立場や環境にいる人との関わりによって感化された、まちづくりに関わる人の熱い想い、そこで生まれる人とのつながりを組織全体で共有することで、個人の視点を変化させ新たな挑戦へとつながっていきます。その成長は組織としての魅力が増し、より多くの仲間を集めることになり、大きな力となります。そして、世界へ広がる幅広いネットワークを通じて、新潟青年会議所の価値は一層高まることを確信いたします。

結びに

 国家青年会議所の綱領にも記載のとおり、志を同じくするということは、組織が掲げるビジョンについて「自分もこころからそう思える」という状態です。その気持ちがある限りは、多少の失敗を犯しても、壁に当たっても、頑張ることができるのですが、それを日々の生活の忙しさにかまけて忘れてしまうと、努力することを忘れ、失敗しても平気になってしまいがちです。

-失敗は自己理解のためのまたとない機会となる。
 失敗を機会として内省することで、自己をよりよく理解することが可能となるのだ-

ピーター・F・ドラッカー

成功に対する執着は、ビジョンを実現したいという思いがあるからこそ生まれます。絶対にあきらめない姿勢は、ビジョンに対して共感をし、「自分ごと」として受け止めることにあります。

行動を伴わないビジョンは、単なる夢。
ビジョンのない行動は、ただの暇つぶし。
ビジョンと行動がそろって、はじめて地域を変えられる。

すべてはビジョンをカタチにするために。

事業計画

  • (1)イノベーションと戦略を描き地域を再興へと導く運動
  • (2)戦略的に民間外交を推進しニイガタの価値を向上する運動
  • (3)会員相互がつながり地域発展に率先して行動する人材を育成する運動
  • (4)継続的な発信を通じて組織の存在価値を高め市民の共感を呼ぶ運動
  • (5)国内外の連携を推進し、自律心と地域愛を育む運動

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